今現在コロナウイルスの流行によって自宅にいることが増えたため「副業」が流行しています。
この副業は、本業とは別で自宅で行う在宅ワークやアルバイトやパートのことを指しています。
副業をするとほとんどの場合収入を得ることができます。
その収入を得る上でみなさまは「確定申告」というものをご存知でしょうか。
今回は副業をしている場合に確定申告は強制となるのか、それともしなくてもいい場合は存在するのかについてご紹介していきたいと思います。
確定申告とは
副業を始めたばかりの人やそもそも確定申告というものはどのようなものかを知らない場合の人もいるかと思います。
簡単に説明すると「確定申告」とは得た収入対して掛かる所得税を計算し、支払う手続きのことを指しています。
これは副業の場合でも企業の場合でも同じですが、収入を得た場合には税金を支払うのが原則となれています。
確定申告を行わなくてはならない人は「個人事業主」や「フリーランス」、「本業はサラリーマンだが副業をしている」ような人々が対象となります。
確定申告が必要なのにしない場合にはペナルティーや思わぬ税金が降りかかってくる可能性もありますので十分に気をつけるようにしましょう。
確定申告が強制か確認するべきポイント
では、副業をしている場合どれほどの収入でも必ず確定申告をしなくてはならないのでしょうか。
答えは「いいえ」です。
本業がサラリーマンで副業をしている場合に副業で得た所得が「20万円以下」である場合は確定申告をしなくても良いのです。
これは、副業の手段がアルバイトやパートの場合でも、オークション販売である場合でも同じく「所得が20万円以下」であれば確定申告は不必要となるのです。
では、確定申告が必要かどうかを判断するために確認すべきポイントをご紹介します。
所得と収入の違いは?
まず勘違いされやすいのが「所得」と「収入」の違いです。
「収入」は自分自身に入ってきた分全ての金額を指しており、「所得」は自分自身に入ってきた全ての金額から「経費」を差し引いたものとなります。
この部分で勘違いを起こしてしまうと、確定申告が不必要であるのにも関わらず確定申告を行い時間の無駄をしてしまうことがよくあります。
ですので、「所得」と「収入」の違いについては必ず覚えておくことをオススメします。
所得はいくらか
「所得」と「収入」の違いがわかったところで副業で自分自身の所得がいくらなのかを計算しなくてはなりません。
何度も言いますが、自分自身の副業での所得が20万円以下の場合は確定申告は不必要です。
では実際に所得がいくらなのかどのように計算すべきかを見ていきましょう。
例えば行っている副業が「イラストレーター」としましょう。
イラストレーターはイラストを描いて収入を得る仕事です。
このイラストレーターの副業によって収入が合計30万円あったとします。
(※この30万円を所得と勘違いして確定申告を行う人が実際にいます。)
そこから所得を割り出すのに、イラストレーターで利用するソフトのライセンス費用や、印刷料金、打ち合わせに必要とされた交通費などの経費が合計11万円あったとしましょう。
収入が30万円であり、掛かった経費が11万円ということは差額19万円となります。
この19万円が「所得」となるのです。
19万円が所得ということなので、20万円以下ということになり確定申告をする必要がないという判断になります。
「所得」と「収入」を勘違いすると30万円に対して掛かる税金を無意味に支払わなくてはならなくなるということです。
副業によって違う所得の種類
上記では、例としてイラストレーターによる所得をご紹介しました。
イラストレーターによって得る所得は「事業所得」に分類されます。
このようにそれぞれの所得によって種類分けされているのです。
簡単に副業に関係する所得をご紹介していきます。
「給与所得」
これはアルバイトやパートにて給与として得られる所得が該当します。
「配当所得」
投資を副業としている人は分配金などが該当します。
「不動産所得」
不動産投資や家賃収入を行っている人の所得が該当します。
「利子所得」
国内外の預金や公社債の利子などで得た所得が該当します。
この他にも様々な所得が存在していますが、副業をする上でメインとなる所得は上記のものが多くなっています。
どのような所得の場合でも20万円を超えていない場合は確定申告は不必要となります。
確定申告をしないと損をする可能性も…
一方、副業をした場合に確定申告をしないことによって損をしてしまうケースも存在します。
確定申告をすると税金(所得税)がかかってしまうから自分自身のお金は必ずマイナスになってしまうと考えている人が多くなっています。
しかし、確定申告をすることで逆にお金が返ってくる可能性もあるのです。
では、実際に確定申告をしないことによってどのような損をする場合があるのかを見ていきたいと思います。
青色申告の承認取り消しの可能性
まずは、青色申告をしている場合に承認が取り消しになってしまう可能性があります。
確定申告をしないということは、自分自身の収入がどれほどあって納めるべき税金がいくらあるということを国が把握することができません。
そのため、青色申告の承認がある場合でも確定申告を行わないことによって承認が取り消しにされてしまう場合があるのです。
では承認が取り消しにされるとどのような損をするのかを見ていきましょう。
まずは「赤字繰越」ができなくなってしまいます。
青色申告のメリットでもある赤字繰越ができなくなることによって、今年に青色申告の承認が取り消されてしまい、翌年に確定申告をしたとしても赤字繰越ができなくなります。
そのため、赤字が合った場合でも白色申告と同じようにそこに関して税金が掛かってしまいます。
次に「少額減価償却資産」へのメリットがなくなってしまいます。
青色申告ではない場合は10万円以上の備品などを購入した場合は一括で経費として計上することができません。
しかし青色申告が承認されているということで30万円以下の備品などを購入した場合は一括で経費として計上することができるため税金を抑えることができます。
しかし、青色申告の承認取り消しが行われてしまうと白色申告と同様に10万円以上の備品の購入をした場合は減価償却にて計上するため節税をすることができなくなります。
次に、「優遇措置」を得ることができなくなってしまいます。
この優遇措置は「青色申告特別控除」という最大65万円を所得から控除することができる制度や家族の給与を経費として計上できる「青色専従者給与」のことを指しています。
副業の場合青色専従者給与はあまり関係がありませんが、最大65万円の控除を受けられる「青色申告特別控除」は大きなメリットとなります。
青色申告の承認が取り消されることによって65万円もの控除が受けられなくなるので自ずと支払う税金が増えてしまうということです。
副業によっては還付金が貰える可能性
副業をする内容によっては確定申告をすることによって「還付金」が戻ってくる可能性があります。
還付金とは、副業をしている上で納税しすぎた分の所得税がある場合に確定申告をすることによって国から還付されるお金のことを指しています。
デザイナーやライターなどという副業の場合に多いとされていまずが「源泉徴収税額」というものが、本来受け取るべき収入か差し引かれて支払われることがあります。
この源泉徴収税額はあらかじめ所得税分引いて支払うという手法であり、この金額が本来納めるべき税金額よりも多い場合に還付金としてお金が戻ってくる可能性があるということです。
では、「還付金」を受け取るために確認しておきたいポイントをご紹介します。
まず、「支払調書」を確認するということです。
この支払調書とは、副業を受けた取引先から発行される書類です。
この支払調書を確認することで契約をしている1年分の合計支払い金額や源泉徴収税額の合計金額が記されています。
確定申告をする場合にこの源泉徴収税額の合計金額を反映させることによって所得税額よりもこの源泉徴収税額が多い場合は還付金が戻ってくるという仕組みになります。
ご紹介した「支払調書」の発行は義務ではないため、取引先によって送られてくるかどうかは異なります。
しっかり確認して還付金を受け取りたい場合には、取引先に支払調書が欲しいということを伝えて送付してもらうようにしましょう。
次に、「収入と必要経費」を確認するということです。
確定申告をして所得税の支払金額を計算する上で基本となるのが、合計収入から必要経費を差し引いた所得です。
確実な収入を計算し、そこに掛かった必要経費の領収書や明細書を用意しましょう。
必要経費の集計が少しでも漏れてしまうと還付金が減ってしまいます。
そのため、必要経費の領収書や明細書は1年分しっかりと保管しなくてはなりません。
青色申告使用している際には「青色申告特別控除」の計上も忘れないようにしましょう。
なにか一つでも漏れがある場合には本来戻ってきたはずの還付金が少なくなってしまう可能性や最悪の場合、なくなってしまう場合もあります。
このように、副業の場合でも還付金が戻ってくる可能性は十分にあります。
そのために、日頃から書類の整理をしておき、確定申告をする場合に漏れがないように準備しておくことをオススメします。
確定申告が必要なのにしなかった場合のペナルティー
副業において確定申告は「20万円以下」はしなくてもいいものです。
しかし、確定申告の存在を知らない場合や知っているけどしていない場合など確定申告が必要とされるのにしなかった場合にはペナルティーがあります。
20万円以上の所得がある人は確定申告をしなくてはならないので、行わなかった場合には大袈裟に言うと「脱税」となってしまう可能性があるのです。
では、確定申告をしなかった場合のペナルティーの内容を見ていきましょう。
延滞税
まずは「延滞税」です。
この延滞税は、本来支払うべき税金があるのにも関わらず決められた期限内に支払いを行わなかった場合に掛かるペナルティーとなります。
延滞税は本来支払わなくてはならなかった期限の翌日から発生するもので、支払わない期間が長ければ長いほど金額が大きくなってくる仕組みになっています。
対策としては確定申告をしなくてはならない期限はあらかじめ決まっているのでその期限から逆算してスケジュールを立てるようにしましょう。
白色申告の場合は書類さえ用意できればすぐに終わりますが、青色申告の場合は白色申告よりも複雑な記入方法や追加書類が必要となるのでそれにあったスケジュールを組むと良いでしょう。
無申告加算税
次に「無申告加算税」です。
この無申告加算税は、確定申告が必要なのにも関わらずそのまま放置してしまった場合にペナルティーとして課せられる税金です。
「確定申告を忘れてしまっていた」、「確定申告をギリギリに始めたため間に合わなかったから提出することをやめた」などの場合にペナルティーが発生します。
この無申告加算税のペナルティーとして、本来納税するはずだった税金に対して50万円までは15%で50万円を超える部分を20%追加して税金が掛かります。
副業でも50万円前後稼いでいる人は多く存在します。
そのため、そのような所得があって確定申告をしない場合だと無申告加算税がペナルティーとして発生してしまうので気をつけるようにしましょう。
対策として確定申告をするべき期限が過ぎてしまった場合でも、期日を過ぎた後に自主的に確定申告をすると15%ではなく5%の割合を乗じて計算した税金が掛かります。
15%以上の加算があるよりは、期限が過ぎてしまった場合でも自主的に確定申告を行うことによって無申告加算税が軽減されるので頭に入れておくと良いでしょう。
税務署の調査が入ってしまうと、「自主的な確定申告」とみなされなくなってしまうので気をつけましょう。
重加算税
次に「重加算税」です。
ペナルティーとして一番重い罰則なのがこの重加算税となります。
この重加算税は副業をしていて確定申告をしなくてはならないのにも関わらず、確定申告をしない理由が悪質だと判断された場合がこの重加算税となります。
悪質だと判断される内容としては「帳簿や書類の改ざん」や「二重帳簿」、「故意的な脱税を思わしき行為」を指しています。
税務署にこのように判断されてしまった場合には、重加算税として本来納付するべき金額の35%~40%が加算されてしまうのです。
この重加算税に該当する人は少ないとされていますが、実際に重加算税で追加納税をしている人もいるのです。
だからこそ、帳簿や書類の改ざんや故意的な脱税と思われる行為をせずに確定申告をする場合は正直に記入することを強くオススメします。
思わぬところからバレてしまう可能性は十分にあります。
ですので、「しなくても大丈夫だろう」という考えは持たずに確定申告をしなくてはならない場合はしっかりと決められた期限内に終わらせることが良いでしょう。
やはり確定申告をしようと思ったら…
副業をしていて必要なのにも関わらず、確定申告をしなかった場合のペナルティーをご紹介しました。
このようなペナルティーがあることを知り、改めて確定申告をしっかりとしようと思った場合には2種類の確定申告の仕方があります。
先ほどから言葉が出ているように「白色申告」と「青色申告」です。
どちらも同じ確定申告をするための手法ですが、内容が少し違います。
今回は簡単に白色申告と青色申告についてご紹介していきたいと思います。
白色申告
一般的に多くの人に知られている、利用されている確定申告方法であるのがこの「白色申告」です。
白色申告は簿記の知識が無くても、自分自身の帳簿や書類がしっかりと揃っている場合は単式簿記での記入となるので初心者に向いている確定申告方法となります。
期限がギリギリになってしまっている人や、納税額が少ないから白色申告でもいいという人にも向いています。
しかし、この白色申告は青色申告とは違いメリットとなる部分が少ないのです。
デメリットとして、特別控除が受けられないことや赤字繰越ができないということが挙げられます、
特別控除は、最大で65万円の控除が受けられるため、副業にて所得が多い人はこの特別控除のおかげで、納税額が低くなります。
赤字繰越は、赤字となった金額を3年間繰り越すことができる制度です。
このようなことから白色申告を使い、簡単に済ませるよりも少しでも納税額を減らすために「青色申告」を選ぶ人も多く存在しています。
青色申告
納税額を減らしたい人が行っている確定申告方法がこの「青色申告」です。
白色申告とは違い、誰でも簡単に青色申告が使えるというわけではありません。
決められた期限内に事前に「青色申告承認申請書」というものを提出し、承認されてから初めて利用することができる確定申告方法です。
青色申告を利用することによって、白色申告部分で簡単に紹介した「青色申告特別控除」や「赤字繰越」、「経費の計算方法の緩和」などの恩恵を受けることができます。
特別控除は65万円の控除を受けることができるので、節税になる。
赤字繰越は3年の赤字を繰り越すことができるので、節税になる。
経費の計算方法の緩和とは、白色申告の場合は10万円以上の備品などの購入は減価償却を行った分だけの経費計上となります。
しかし青色申告を利用することで30万円未満の備品購入などは一括で経費計上することができるのです。
その他にも、家賃や光熱費の一部を経費として計上することができるので、合計所得を減らすことができ、結果的に節税になるということです。
このようなメリットがありますが、承認申請を行うことや、白色申告よりも複雑である複式簿記を使わなくてはならないので初心者向けとは言えません。
ですが、今現在は会計ソフトも流行しているのでそのような機能を使うことによって比較的身近な確定申告方法ともなっているのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
副業をしていても確定申告を全ての人がしなくてはならないわけではありません。
基本的には副業で「20万円以上」の所得がある人は確定申告をしなくてはなりません。
副業で20万円以上の所得が無いからとしない場合に戻ってくるはずだった還付金が貰えなくなってしまうなどのこともあるので、自分自身はどちらに当てはまるかを再度確認してみると良いでしょう。
確定申告をしないことによってペナルティーが発生し、支払う必要のなかった追加税金を支払わなくてはならないこともあるので基本的には「確定申告はするもの」と考えておくことが良いでしょう。
「確定申告をするべきかどうかわからない」、「やり方がわからない」など不安がある方はインターネットで調べる他に管轄の税務署に電話するか直接行くことによって相談に乗ってもらうことができるので気軽に問い合わせしてみることをオススメします。